Vivy -Fluorite Eye’s Song- Vivy -Fluorite Eye’s Song-

――私の使命は、歌でみんなを幸せにすること ――私の使命は、歌でみんなを幸せにすること

SPECIAL

インタビュー
2021.04.11

アーティストインタビュー
八木海莉

――まず、八木さんがアーティスト、歌を歌うことを志したきっかけはなんでしたか?
小さい頃からずっと歌は歌っていたんですけど、歌手をめざすというところまでは考えていなかったんですよ。でもあるときに、とあるオーディションを受けてステージ上でお客さんを前に歌ったことが大きなきっかけになっています。それまでのステージではどうしても緊張が勝ってしまってお客さんの視線ばかり気にして歌っていたんですけど、そのオーディションのときは本当に何も気にしないで気持ちよく歌えたんです。それがきっかけで本格的に歌手をめざそうと思うようになりました。
――現在はご自身のYouTubeチャンネルで弾き語りでの歌唱を披露されていますが、ちなみにギターを始めたのは?
ギターもそのオーディションのタイミングで、何か新しいことをしたいなと思ってとっさに始めたものでした。それで半年間ギターの弾き方を一生懸命練習して、そのステージで披露したのが最初です。それからなので、ギター歴でいうと4年ぐらいですね。
――そしてこのたび、オリジナルテレビアニメ『Vivy -Flourite Eye’s Song-』にてヴィヴィの歌唱を担当することになったわけですが、最初にそのオファーを聞いた感想はいかがでしたか?
アニメがすごく好きなので、アニメの主題歌ができるって聞いたときはすごくうれしかったですね。
――アニメはよくご覧になるんですね?
もうなんでも観ちゃうんですよ。最近の異世界ものから少年誌もの、あと個人的には重たい設定のものが好きですね(笑)。だいたいはサブスクで視聴して、気になったものはテレビで予約して、普段からとにかくいっぱい観ています。なのでお話をいただいたときはとてもうれしかったです(笑)。
――そのオファーのタイミングで『Vivy』がどんな作品かを知ったかと思いますが、本作の第一印象はいかがでしたか?
いちばん最初にいただいた資料には、イラストといくつかのワードが書いてあったぐらいだと思います。そのなかで特に印象的だったのが「<私>が<私>を滅ぼす物語」というワードで、そこにAIというものが絡む物語と知って、すごく興味を惹かれる話だなって思いました。
――そして八木さんの楽曲も含め、本作の音楽を総合的に手がけられるクリエイターが神前 暁(MONACA)さんとなりますが、神前さんのお名前はご存知でしたか?
もちろん知っていました。最初の打ち合わせでお名前を聞いたときは、まず「恋愛サーキュレーション」(TVアニメ『化物語』10話オープニングテーマ)のことを思い浮かべたんですが、打ち合わせから帰ったあとに家でめちゃくちゃ調べたんですよ。そうしたら「えっ、自分が観てきたこのアニメやこのアニメも神前さんが手がけているんだ!」ってビックリしつつ、そんな神前さんの曲を歌えるなんて改めて感動しちゃいました。
――八木さんはヴィヴィの歌唱として、本作で数々の楽曲を担当されていますが、まず最初に歌った楽曲はなんでしたか?
「My Code」(1話劇中歌)ですね。自分の歌でもあり、ヴィヴィというAIが届けるものでもあるのでどう歌おうか……とか、思うことがたくさんあったんですよ。でも一方で、視聴者としては1話で初めてヴィヴィの歌が聴けるシーンで使われるものでもあったので、特に何も考えず、まっすぐ歌おうと思いました。
――まさに1話のヴィヴィと同じように、まっさらな状態で歌おうと。そういった初々しさも感じさせる楽曲でしたが、実際のレコーディングはいかがでしたか?
もう……緊張しましたね。なんならインタビューしている今もですし、ここ最近ずっと緊張しているんですよ(笑)。今またレコーディングしても緊張すると思うんですけど、最初はもっと緊張していて声が震えたり大変だったんです。でも1、2回歌ってみて、そこで自分の歌を聴かせてもらったときに、「これ以下はないな」って思って。そう考えてからは少し安心して歌えるようになりました。
――最初のテイクからあとは伸びていくだけだと考えるようになったと。
そうですね。そこからは「緊張している場合じゃないぞ」って思って歌えるようになりました。なので、そこからは自分の歌を聴かせてもらいながら歌わせてもらうようにしました。
――ちなみに神前さんや音楽プロデューサーの山内真治さんからはどんなディレクションを受けましたか?
「My Code」の段階では「こうしたほうがいいよ」というアドバイスはあまりなかったんですね。でもそれ以降は、一つひとつの表現の仕方や、そのときの自分からどう新しい聴こえ方にできるかを教わるようになって、自分のなかでも勉強になりました。
――そうした「My Code」が1話でも流れましたが、ご覧になった感想はいかがでしたか?
最初に映像を見せていただいたんですけど、1話で流れるのはほんの数秒だけだったので、「自分は絶対聴き逃さないぞ」ってじっと観ていました(笑)。数秒だけだったんですけど、それでもとてもうれしかったですね。
――続いては3話で流れた「A Tender Moon Tempo」ですが、こちらはメロディの優しいバラードとなりました。
この曲は特に歌詞が感じるものがあって。”与えられる日から 与えていくほうの側へ”という歌詞があって、そういうフレーズを歌って自分も変わっていこうと思えるようになっていったのはあります。歌詞を噛み締めながら歌ったというか、そこで歌ううえでの意識は変わりましたね。
――只野菜摘さんの歌詞は作品全体を示すというよりもヴィヴィの心情に沿った私的な印象もありましたし、そこが現在の八木さんともシンクロしていったのかもしれないですね。
そうですね。自分がアニメのストーリーを見て思った感情を綺麗にまとめ上げてくださっているみたいで、自分にもすごく刺さるなって思いながら歌っていましたね。
――作中のヴィヴィのように、八木さんもレコーディングをしながら自分が成長していく実感があった?
ありましたね。それこそ最後の楽曲のレコーディングになるとすごく楽しく歌えたので、そう思えたのは自分としてもうれしかったですね。
――そうした劇中歌の一方で、八木さんは本作のオープニングテーマである「Sing My Pleasure」も歌われています。まずこの壮大な楽曲を聴いた感想はいかがでしたか?
「めちゃくちゃかっこいいな!」と思ったあとにすぐ、「めちゃくちゃ難しいな……」って思いました(笑)。なのでとにかく練習しました。でもやっぱり難しいです。
――劇的な展開を見せる楽曲に合わせたエモーショナルなボーカルが印象的な楽曲でしたが、レコーディングはいかがでしたか?
この曲をレコーディングしているときに、神前さんや山内(音楽プロデューサー: 山内真治)さんから自分の歌い方のクセを教えていただいたんですね。私って少しえぐるように歌うクセがあって、それを入れて歌うかなくして歌うかという方向性を決めるなかで、自分ではどうしてもなくして歌うことができなかったんですよ。なので一度そこをなくすということが自分のなかで大きな課題になっていて、家でもいっぱい練習しました。そこが大変でしたね。
――そうした自分のボーカルアプローチに変化を持たせる経験にもなったこの曲ですが、完成したものを聴いた感想は?
自分じゃないくらい、すごくよく仕上がってよかったなって思いましたね。特に最後のサビがすごくよくできたので、そこは早くフルバージョンで聴いてほしいなって思いますね。
――そうした劇中歌の一方で、八木さんは本作のオープニングテーマである「Sing My Pleasure」も歌われています。まずこの壮大な楽曲を聴いた感想はいかがでしたか?
自分じゃないくらい、すごくよく仕上がってよかったなって思いましたね。特に最後のサビがすごくよくできたので、そこは早くフルバージョンで聴いてほしいなって思いますね。
――たしかに終盤のたたみかけるような展開はゾクゾクしますね。あと冒頭や中盤の”As you like my pleasure”といった幻想的なコーラスワークも印象的で、そうしたコーラスのレコーディングはいかがでしたか?
あれは結構褒められて……うれしかったですね。

山内:神前さんのコーラスの積み方って、例えばカラオケで簡単に即興でハモれないような、「なぜそこ?」というところを攻めてくるんですよね。普通の人間の感覚なら思いもつかないところに音階が行くので、ハモのメロディを掴むだけでも結構難しいはずなんですよ。なんですけど、そこをサクッとやってしまったという。「すごいね!」って神前さんと話していて。

うまくいってよかったです……(笑)。
――以前、神前さんと山内さんにインタビューした際も、八木さんについてはベタ褒めでしたよ。
本当ですか? ええ〜……(笑)。神前さんはちょくちょく褒めてくださって、最後の曲でもすごく褒めてくださったんですよ。でも私、褒めてもらうとダメになるタイプで、褒められた次のテイクはうまくいかなくなるので、普段からあまり褒めていただかないようにしました(笑)。
――褒められると力が抜けてしまうんですかね?
そうなんですよ……(笑)。うれしさがそのまま余韻になって、ダメになってしまうんですよね。
――また「Sing My Pleasure」は、アニメ本編に先駆けて第1弾PVでも使用されていて、八木さんのお名前もすでに話題を呼んでいます。そうした声は八木さんのもとにも届いていますか?
届きました。SNSでも『Vivy』の投稿をするときは手の震えがめっちゃ止まらなくて、投稿したあとも「なんでこんなに?」ってぐらい震えちゃいました。でもそのあとみんなからうれしい言葉をいただいて、「よかった……」ってやっと落ち着いたぐらいです。
――『Vivy』のストーリーが進んでいくうちに、そうした声はどんどん大きくなっていくと思います。ところで、八木さんが歌をうたうなかで、ライブなど観客を前にしたパフォーマンスについてはどう捉えていますか?
ライブというのは、いちばんしたいことでもありますね。去年に無観客でオンラインライブをやったんですけど、みんなは私が見えていてこっちはみんなが見えていないという状況でやったら、緊張が倍以上になっちゃって。人の姿が見えたり視線を送ってくれることは大切なんだなって改めて思いました。
――活動が本格化していく今後、『Vivy』の楽曲をステージ上で披露する八木さんを目撃する機会も楽しみにしたいですね。
いつかお見せしたいと思っているので、『Vivy』の曲もライブを想定した歌い方というのは、今でも家でいっぱい練習しています。
――また、今後のアーティスト活動に向けても学ぶべきところ、例えばソングライティングの面などで影響はありましたか?
作詞や作曲は現在も継続してやっています。なので、『Vivy』の現場でも勉強になることばかりで、例えば自分の声にハモリや音を重ねたりしたら「これやってみよう」って、家に帰ってすぐ重ねてみたりしていました。
――こうしてアーティストとしての一歩を踏み出した八木さんですが、今後どんなアーティストをめざしていきたいですか?
自分のしたいこととか、なりたいものが変わることはあっても、それを観てくださる方々を喜ばせるアーティストになりたいですね。
――では最後に、『Vivy』の今後を楽しみにしている視聴者にひとことお願いします。
楽曲はもちろんなんですけど、ヴィヴィとマツモトの100年の物語を最後まで見届けてほしいと思います。